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難民を扱った映画#1ホテル・ルワンダ

  • K-Diffusionors
  • 2019年2月14日
  • 読了時間: 4分

ラブストーリー、アクション、サスペンス、アニメ…。世の中にはいろいろなジャンルの映画がありますが、難民を題材に扱った映画を皆さんはご存知ですか?今回はその中でも難民映画の筆頭格ともいえる作品、『ホテル・ルワンダ』について紹介しようと思います。

まずは『ホテル・ルワンダ』の基本情報についてみていきましょう。

公開年:2004年

制作国:南アフリカ、イギリス、イタリア

上映時間:122分

言語:英語

となっております。題名の通りルワンダ、すなわちルワンダ内戦中に起こったルワンダ虐殺を扱った作品となっておりますが、まずはそのルワンダ内戦についておさらいしてみましょう。

ルワンダ内戦―これは世界で最も悲惨な内戦の一つ―は1990年から約4年間続いた戦いで、簡単に言えば政府軍と反体制派の戦いのように見えました。ところが根底には二つの民族による激しい対立があったのです。

ルワンダにはフツ族、そしてツチ族の二つの民族が存在しています。わかりにくいでしょう。筆者も覚えるまでにかなりかかりました。多数派を占めるのはフツ族でしたが、第一次大戦後の植民地時代、ベルギーとともに支配階級にいたのはツチ族でした。ところがベルギーとツチ族の関係が悪化すると、ベルギーは態度を一変させフツ族を支援し独立させようとします。これを恐れたツチ族の人々は、隣国ウガンダに脱出し難民キャンプでの生活を余儀なくされました。

事態は1980年代に一変します。隣国ウガンダでの内戦に反政府側として参戦し、勝利に貢献したツチ族難民たちは、ウガンダでの地位を向上させ、ついに「ルワンダ愛国戦線(FPR)」を結成し、フツ族政府への反対活動を展開します。この中にはのちに大統領となり、“ルワンダの軌跡”を実現させたポール・カガメも在籍していました。

こうして1990年、FPRが国境を越えてウガンダに侵攻し、戦闘が始まります。この紛争自体は不毛なまま三年間が経ち、停戦に合意しますが、その翌年にフツ族の大統領を乗せた飛行機が何者かの仕業によって墜落してしまいます。これがすべての災いの始まりでした。

この事件はツチ族による犯行だと断定した多数派のフツ族は、直ちに全ツチ族を標的にしたジェノサイド(大虐殺)を開始します。これが有名なルワンダ虐殺です。この虐殺は100日間続いたとされ、100万人ものフツ族(これは当時のルワンダの人口の2割といわれている)が犠牲になったとされました。このような背景の下で、実体験をもとにして作られたとされるのが『ホテル・ルワンダ』です。

映画のあらすじをざっと述べますと(ネタバレ注意)、主人公は有名ホテルの副支配人であったが、内戦による混乱では家族しか救わないと考えていた。ところが虐殺が始まり事態が深刻化すると、彼は意を決してフツ族、ツチ族関係なく難民となった人たちをかくまうことを決心します。ただそこには攻撃を仕掛けてくる過激派も存在するわけで、果たして彼と難民およそ1200人の運命はどうなるのか…。というストーリーです。この映画、公開当時から高い支持を得て、実際にアカデミー賞やゴールデングローブ賞にノミネートされたりするなど、評価が高い作品でしたが、日本での公開はなんと発表から二年もたった後のことでした。その理由はいったい何だったのでしょうか。

この映画が公開されたとき、日本の人々は“ラブストーリーがない” “虐殺があってグロい”などといった理由であまり注目を集めませんでした。史実に基づいた作品なのでしょうがないことだとは思うのですが。ともかく、日本国内では採算が合わないとの理由で、公開を見送りかけました。それでもせっかくの名作を上映しないのはもったいない!といった人たちが立ち上がり、署名活動を地道に行い続けた結果、二年後やっと渋谷の映画館で上映が決まり、そのあと順次公開されていった、というエピソードがあります。

この事実を踏まえていえることは、まだまだ日本に難民問題がまったく浸透していない、ということです。“難民がテーマだから採算が合わない”なんて身勝手な感覚だと思います。このようにもっとこういった映画にも興味を持ってもらって、これをきっかけにしてもいいので、難民について、見聞や理解を深めていってもらいたいものです。ではここまでありがとうございました。

ライター:R.M.

 
 
 

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